今月の1シーン
2013年7月の写真の説明
2013年07月01日
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地獄の獄卒の言葉
7月に入りジメジメとした蒸し暑い日が続いてます。「今月の1シーン」では、背筋が凍るほど恐ろしい地獄の獄卒(ごくそつ)の言葉を紹介します。
地獄には獄卒がいます。獄卒とは「鬼」のことで、経典によっては閻羅人(えんらにん)とも呼ばれ、罪人たちを苦しめます。
獄卒の役目は、罪人たちに責め苦を与えるだけでなく、「説教」もします。獄卒は姿を変えた仏さまともいわれ、恐ろしい顔をしていますが、その言葉は説得力に富み、よく道理を踏まえています。
それでは獄卒の言葉に耳を傾けてみましょう。
1枚目
黒縄地獄(こくじょうじごく)の獄卒の言葉
ここは八大地獄の二番目、黒縄地獄です。
黄色の顔の獄卒は、強盗殺人を犯した罪人を叱りつけながら、次のように言います。
「地獄が恐ろしい所だと思うかもしれないが、一番恐ろしいのは、おまえの心だ。他人の命や財産を奪った自己中心的なおまえは、たった一人で地獄の苦しみを受けなければならない。妻子や兄弟など、誰もおまえを救ってやることはできないのだ。」
2枚目
刀葉林(とうようりん)の獄卒の言葉1
八大地獄の三番目にある刀葉林(とうようりん)という地獄です。婦女暴行をした者が堕ちます。
この地獄では、美しい女性に身を変えた獄卒が現れて、
「私はあなたのことが好きでここに来たのに、どうして私のそばに来てくれないの。どうして私を抱いてくれないの。」
と、罪人を誘惑します。
それを聞いた罪人は女性に近づきますが、木の葉は刀に一瞬にして変わり、切りさかれ血だらけなってしまいます。この行為が百千億年もの間繰返されます。
生きている間に女性との間でトラブルを起して苦しんだ者は、地獄に堕ちた後も、女性に身を変えた獄卒から苦しめられます。
3枚目
刀葉林(とうようりん)の獄卒の言葉2
これを見ていた青色の獄卒は、
「おまえが受けている苦しみは、誰の責任でもなく、お前自身の問題だ。これこそ自業自得である。人間は、誰もがこのような悪業を抱えているのだ。」
と、人間の本質を見抜いて罪人に説教します。
この地獄の説明は、『正法念処経(しょうぼうねんしょきょう)』という、五世紀頃に成立したお経に記されいます。千五百年前も現代も、人間の本質は変わらないのです。
最近、地獄の話は子供のしつけに効果があるといわれていますが、本来は大人に反省をうながすために書かれたものなのです。
4枚目
叫喚地獄(きょうかんじごく)の獄卒の言葉
八大地獄、四番目の叫喚地獄は、酒に酔って起こした乱行が原因で堕ちる地獄です。
獄卒のリーダーである閻魔大王は、次のように罪人を叱りつけます。
「おまえは生きている間に悪い行いをして地獄に堕ちた。そして「今」その報いを受けている。なぜ、罪を犯すその時に反省しなかったのか。
地獄に堕ちた「今」悔いても、もう遅いのだ。」
閻魔大王のこの最後の言葉、「地獄に堕ちた「今」悔いても、もう遅いのだ。」という一語はずっしりと重みのある言葉です。
地獄に堕ちてから罪を反省しても、閻魔大王でさえどうすることもできないのです。死んでからではなく、生きている間の行動が大切なのです。
「いつやるか?今でしょ!」なのです。
地獄に堕ちないために、今、「悪行」をやめるのです。
画・小早川好古
今月の写真の説明/文責・青森直樹
今回紹介した地獄のDVD作品「往生要集 地獄 ~穢土厭離の世界~」。二巻一組で詳細に描いています。
地獄の絵画は、源信僧都の説く『往生要集』を基に忠実に再現しています。獄卒たちのユーモアあふれるオリジナルの絵画は、見ていて楽しめます。
現実に存在しない地獄の生き物や鬼などの表現に苦労したといいますが、それでも鬼の爪一つにしても丁寧に描かれています。
夏の暑い日が続く中、普段地獄の絵を見る機会のない子供たちと一緒に地獄の凄まじさを味わい、地獄の恐ろしさと、何をしたらこの地獄に堕ちるのか話あってもいいでしょうし、大人も十分考えさせられます。ぜひご覧ください。
DVD作品
DVD「往生要集 地獄 ~穢土厭離の世界~ 上巻」(収録時間27分)
9,450円(税込)
DVD作品
DVD「往生要集 地獄 ~穢土厭離の世界~ 下巻」(収録時間22分)
9,450円(税込)
AmazonからでもDVDを購入できます。
DVD「往生要集 地獄 ~穢土厭離の世界~ 上・下」二巻一組
16,800円(税込)
「往生」についての大切な経文や論釈を集めた『往生要集』。
その『往生要集』をわかりやすく先生自身の例話を交えたお話です。
ダウンロード法話
「往生要集のはなし」 お話 坂東 性純
地獄はあるのか。誰もがその所在が知りたい問いについて、わかりやすく説明されました。
ダウンロード法話
「地獄はあるのか?」 お話 金治 勇
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