今月の1シーン

画像: 2012年11月の写真の説明

2012年11月の写真の説明

2012年11月01日

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金子みすゞの詩

11月に入り随分と寒くなってきました。
今月は心がポカポカと暖まる金子みすゞの詩を味わっていきたいと思います。

金子みすゞの本名は「金子テル」といいます。明治36年(1903)4月11日、三人兄弟の長女として山口県長門市仙崎で生まれました。仙崎(せんざき)は北長門海岸国定公園の中心に位置し、青海島(おおみじま)を望み仙崎湾と深川湾に囲まれた町です。仙崎は漁師町で、現在でも魚の供養や鯨法会(くじらほうえ)という仏教行事が色濃く残っている町です。

昭和5年(1930)の26歳で亡くなるまでに512編もの童謡詩を書き残しました。その詩には魚や植物の命を、人間の命と同じ視点で表現しています。生き物からの視点で表現されていて、詩を読んでいると想像も及ばない表現が登場しドキッとさせられます。しかし詩の心はやさしく、懐しいものが心の中に入ってきます。そして明るい世界が広がります。

それでは、みすゞの詩の世界を上原結子がやさしいタッチで描いた4枚の絵画で紹介していきたいと思います。

「散ったお花のたましいは、
み仏さまの花ぞのに、
ひとつ残らずうまれるの。」
すねいるの伝声板(メッセージ)



フラッシュ動画について



1枚目
大漁(たいりょう)
大漁(たいりょう)

朝焼小焼だ
大漁だ。
大羽鰮(おおばいわし)の
大漁だ。

浜はまつりの
ようだけど
海のなかでは
何万の
鰮(いわし)のとむらい
するだろう。



2枚目
木


お花が散って
実が熟れて、

その実が落ちて
葉が落ちて、

それから芽が出て
花が咲く。

そうして何べん
まわったら、
この木は御用(ごよう)が
すむかしら。



3枚目
私と小鳥と鈴と
私と小鳥と鈴と

私が両手をひろげても、
お空はちっとも飛べないが、
飛べる小鳥は私のように、
地面(じべた)を速くは走れない。

私がからだをゆすっても、
きれいな音は出ないけど、
あの鳴る鈴は私のように、
たくさんな唄は知らないよ。

鈴と、小鳥と、それから私、
みんなちがって、みんないい。



4枚目
花のたましい
花のたましい

散ったお花のたましいは、
み仏さまの花ぞのに、
ひとつ残らずうまれるの。

だって、お花はやさしくて、
おてんとさまが呼ぶときに、
ぱっとひらいて、ほほえんで、
蝶々(ちょうちょ)にあまい蜜をやり、
人にゃ匂いをみなくれて、

風がおいでとよぶときに、
やはりすなおについてゆき、

なきがらさえも、ままごとの
御飯(ごはん)になってくれるから。


詩・『金子みすゞ童謡全集』JULA出版局
絵・上原結子(うえはら ゆいこ)
今月の写真の説明/文責・青森直樹




DVD「金子みすゞ 慈しみの詩」は、みすゞの生涯を辿りながら仙崎のみすゞ記念館などゆかりのロケ映像と、特に仏教的な味わいをもつ16編の詩を上原結子の絵によって表現しました。今回紹介した4枚の絵画も収録しています。

DVD作品
「金子みすゞ  慈しみの詩~ありがと ありがと 仏さま~」
「金子みすゞ  慈しみの詩~ありがと ありがと 仏さま~」
(収録時間46分) 9,450円(税込)



みすゞと同じ故郷(長門市)の上山大峻先生(浄泉寺住職、龍谷大学名誉教授、元学長)は、仏教が根底にあるみすゞの詩を紹介しながら、「みすゞの生涯」や「浄土真宗の信仰深い土地がら仙崎」や「いのちは平等」であること、また「見えない力で生かされている」ことについてお話くださいました。

CD・ダウンロード法話
上山大峻
「金子みすゞ 見えぬけれどもあるんだよ」 お話 上山大峻
(収録時間73分)

CD版の購入はこちら 2,000円(税込)
ダウンロード版の購入はこちら 680円(税込)



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