今月の1シーン
2012年10月の写真の説明
2012年10月01日
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ジャータカ物語
お釈迦さまの前世が記されたジャータカという物語があります。
ジャータカとは、紀元前3世紀頃、当時のインドに伝わっていた伝説がもととなり、仏教的色彩が加わってできたといわれ、日本では本生話(ほんじょうわ)とか本生譚(ほんじょうたん)とも呼ばれています。全部で547の物語があり、お釈迦さまは、ある時は猿として生まれ、また鹿の王様として登場し、仏教で説く大切な教えを伝えています。
二千年余りもの長い間、世界中の人々に愛され語り継がれてきたジャータカは、私たちに大切なメッセージを語りかけてくれます。
今回紹介するのは、ジャータカ物語の第546話「大トンネル前生物語 マ二珠問答」という物語です。題名は長くて難しそうですが、お釈迦さまの最初の説法で説かれたという八正道(はっしょうどう)の一番目の「正見(しょうけん)」、正しいものの見方が説かれています。
それではカラフルな布やビーズ、ボタンなどで作られた押絵で物語を見ていきたいと思います。
「正しい見方ができないと、何が本当に大切なことであるのか分からなくなります。」
すねいるの伝声板(メッセージ)
フラッシュ動画について
1枚目
インドの物語
昔インドに立派なお城を持った王様がいました。お城の近くには、背の高いびんろう樹(ヤシ)が生えていて、一羽のとんびが巣を作って住んでいました。
2枚目
夜光の玉
ある日、イタズラなとんびはお城の中で、キラキラ光る玉を見つけ、それをくわえて自分の巣に戻ったのです。しばらくすると、お城の中は大変な騒ぎになります。というのは、とんびの持っていったキラキラ光る玉は、お城のお妃様が大切にしていた、「夜光の玉」という世界に二つとない宝石だったのです。
3枚目
湖面の輝き
しばらくして、家来が湖に何か光っている物を見つけました。そして王様に伝え、王様は湖の真中を見ると、玉の様なものがピカピカ光っていました。王様はピカピカ光る湖の光が、夜光の玉だと思い込み、家来に湖の水をすべて汲み出してしまうよう命じます。
4枚目
菩薩の登場
そこに菩薩が静かに森の中から出てこられました。そして、王様に声をかけ、夜光の玉は湖の底にあるのではなく、びんろう樹の上にある、とんびの巣の中にあると教えます。夜光の玉は夜になると月の明かりに照らされ、湖に玉が光っている様に見えていたのです。
「正しい見方ができないと、何が本当に大切なことであるのか分からなくなります。」
すねいるの伝声板(メッセージ)
お釈迦さまは「正見(しょうけん)」、いつも正しくものを見ることを私たちに教えてくださいます。私たちは自分で正しいことだと思った行動も、本当は間違ったことをしているかもしれませんし、人々にどのような迷惑をかけているか、気づくこともできないでしょう。
そうした自分勝手なものの見方に対して、智慧の立場から執(とら)われを破り、真実の世界を知らしてくださるのが仏さまの教えです。私たちは仏教を依りどころとして、正しいものの見方ができます。
原画・山岸れいか
押絵・西村鶴之助
今月の写真の説明/文責・青森直樹
DVD作品「みずうみの光」は、今回紹介したジャータカ物語の「大トンネル前生物語 マ二珠問答」を脚色したものです。
湖に輝く宝石。その宝石をめぐって国中が大騒ぎ。仏教の大切な教えである正見(正しいものの見方)について見ていきます。この物語に登場する宝石を自分自身の大切なものと置き換えて作品を見ると、より一層味わいが深まると思います。
また原画はカラフルな布やビーズ、ボタンなどで作られています(押絵)。布の芸術と呼ばれる押絵は、布を貼り合わせて出来ているので立体感があり、その布に照明や風をあて、より美しい押絵の質感を表現しました。動きや深みのある映像は、子供から大人まで幅広く楽しめます。
DVD作品
「みずうみの光」(収録時間21分)
9,450円(税込)
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