今月の1シーン

画像: 2015年6月の写真の説明

2015年6月の写真の説明

2015年06月01日

6月のホームページフラッシュ
地獄・極楽 絵解き説教


「人は死ぬと、どこへ行くのか?」
この問題は、古くて常に新しい人間が問い続けた問いです。
仏教では、この問いに対する一つの答えが地獄の思想にあります。

「今月の1シーン」は、人間の死後が描かれた地獄・極楽の絵図を用いた、藤嶽敬道(ふじたけきょうどう)師の絵解き説教を紹介します。



フラッシュ動画について


1枚目

地獄絵図を絵解きする藤嶽敬道師

「絵説き」について『説教の歴史』を著した関山和夫氏は、「絵を見せながら、その絵についての解説を行い、さらにその絵に関わる話をする「絵解き」というものは、わが国では宗教的な行為として古くから行われた。特に中世から近世にかけて全国で盛行したものである。」と説明しています。

今のようにテレビや写真がない時代に日本の仏教界では、仏画や地獄・極楽の絵図を見せて説明する絵解きが盛んで、その目的は仏法を伝えるために行われていました。

その絵解きの世界で有名なものには、地獄絵図の絵解きがあります。
写真は、地獄絵図を絵解きする藤嶽敬道師(1892年1月1日〜1985年8月31日 享年93歳)です。
三重県いなべ市藤原町坂本の敬善寺第十三世の住職で、毎年夏になると自坊で、お経のように節をつけ、面白おかしく地獄・極楽について説いていました。当時は「冥途の旅日記」と呼ばれていました。



2枚目

地獄・極楽絵図(十王経絵図・阿弥陀来迎図)

写真は敬善寺に伝わり、藤嶽敬道師が絵解きに用いていたもので、五幅のうち右の四幅の掛軸が「十王経絵図」。左の一幅は「阿弥陀来迎図」です。

「十王経絵図」は略して「十王図」といい、『十王経』を元に描かれたものです。この四幅の「十王図」には、死後に死者は長く険しい旅路の中、十人の恐ろしい王によって、前世において行った罪業を裁かれていく様子が描かれています。



3枚目

閻魔王

写真は「十王図」の一場面で、中央には杓を執って座り、口を大きく開き、死者を憤怒の表情で睨み付ける、十王の一人である閻魔王です。

死者は亡くなってから三十五日目、鬼に引き立てられ、その人生の全ての記録が提出されて、閻魔王の裁きを受けます。
しかも、閻魔王庁には「浄玻璃鏡(じょうはりのかがみ)」と呼ばれる左下に描かれている大きな鏡も用意され、生前のすべての行いが映し出されます。嘘をつく死者もいますが、すぐに見抜かれてしまいます。

恐ろし顔をした閻魔王ですが、実は地蔵菩薩が姿を変えた仮の姿だといわれています。



4枚目

地獄の絵解きに見いる人々

写真は『アサヒグラフ』1976年9月17日号の記事で、「鈴鹿の山のありがたーいお説教。うっとりとした顔で説教に聞きいるおばあさん。あちらこちらから「ナンマンダブー」と声が聞こえてくる。」と当時の様子が紹介されています。

地獄絵図は、死後の世界について説かれていると紹介してきましたが、実際に聞いているのは生きている人間です。また、科学が進んだ現代では、地獄は古臭く馬鹿げたことで、人間の勝手な描写で根拠がなく、自分には関係ないと思われるかもしれません。
しかし、自分の心を見つめ直すと、嘘や怨み、妬みなどに振り回されて、地獄に堕ちた死者と変わらない愚かな生き方になっているのではないでしょうか。

地獄を通して、自らが地獄をつくっていると気づき、そして人間としての謙虚さを開くことが、仏教で説かれてきた地獄の大きな意義だと思います。



「今月の1シーン」で紹介しました、藤嶽敬道師の絵解き説教です。
「地獄・極楽物語」は昭和四十九年に、藤嶽敬道師が絵解きされた音声に敬善寺に伝わる五幅の絵図を示しながら詳しく見ていきます。(実況録画ではありません。)
今年の夏は、地獄・極楽の旅をしてみてはいかがでしょうか。


ブルーレイ
絵解き説教「地獄・極楽物語」
藤嶽敬道
(収録時間39分) 7,200円(税抜)




臨終・初七日・二七日・三七日・四七日・五七日・六七日・七七日の中陰(七日仏事)を、敬善寺に伝わる地獄・極楽の絵図五幅を示しながら、現代的意義をお話くださいました。


ブルーレイ
法話「地獄・極楽巡り 〜七日仏事 現代的意義〜」
藤嶽 明
(収録時間32分) 7,200円(税抜)




ある富山県のお寺で出会った四人のおばあちゃんの質問を例にあげてお話が始まります。そのおばあちゃんの質問とは、「例えば息がきれて、三途の川にやってきた。すると三途の川に二台のバスが停まっている。一台は極楽行きのバス、もう一台は地獄行きのバス…。」というものです。あなたはどちらのバスに乗りますか。


ブルーレイ
蘇る名法話・名説教 「佐々木伸麿 全二話」
地獄は一定すみかぞかし
7,200円(税抜)




「お盆」その言葉が『日本書紀』の中に初めて出てきたのは、西暦657年です。
そこには「須弥山石」を造り盂蘭盆会をしたと記されています。
この作品では「須弥山石」を訪ね飛鳥路を巡りました。また、『仏説盂蘭盆経』の目連尊者と餓鬼道に堕ちた母親の物語を収録。餓鬼の凄まじさを京都国立博物館や聖衆来迎寺にある絵巻物から見ながら、「お盆」の由来とその意味を詳しく紹介しています。


ブルーレイ
「お盆 -お盆のルーツをたずねて-」
(収録時間27分) 7,200円(税抜)




地獄のDVD作品「往生要集 地獄 〜穢土厭離の世界〜」。二巻一組で詳細に描いています。
地獄の絵画は、源信僧都の説く『往生要集』を基に忠実に再現しています。獄卒たちのユーモアあふれるオリジナルの絵画は、見ていて楽しめます。
絵画を担当した小早川好古画伯は、現実に存在しない地獄の生き物や鬼などの表現に苦労したといいますが、それでも鬼の爪一つにしても丁寧に描かれています。

夏の暑い日が続く中、普段地獄の絵を見る機会のない子供たちと一緒に地獄の凄まじさを味わい、地獄の恐ろしさと、何をしたらこの地獄に堕ちるのか話あってもいいでしょうし、大人も十分考えさせられます。ぜひご覧ください。


DVD「往生要集 地獄 〜穢土厭離の世界〜 上巻」
(収録時間27分) 9,000円(税抜)


DVD「往生要集 地獄 〜穢土厭離の世界〜 下巻」
(収録時間22分) 9,000円(税抜)




「DVD くもの糸」は、芥川龍之介の原作に、宮地廓慧が仏教の立場から続編を書きたしたものです。
カンダタが、地獄に降りたお釈迦さまに導かれ、浄土に救われる様子を描いています。地獄に堕ちたカンダタの苦しみを自分自身に置き換えて見ると、より深く「くもの糸」を味わえます。


DVD 「くもの糸(完結編)」
(収録時間27分) 9,000円(税抜)




地獄はあるのか。誰もがその所在が知りたい問いについて、わかりやすく説明されました。


ダウンロード法話
「地獄はあるのか?」
お話 金治 勇  648円(税抜)




地獄の様子を鮮明に記した『往生要集』。
その『往生要集』をわかりやすく先生自身の例話を交えたお話です。


ダウンロード法話
「往生要集のはなし」
お話 坂東 性純  648円(税抜)



今月の写真の説明
文責・青森直樹

 




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